ナマコ類は無脊椎動物の中では大きくなる方だが、攻撃手段を持たず、動きも遅いため捕獲が容易である。日本や中国では古来より、ナマコを食料として利用してきた長い歴史がある。日本で主に食用とされるマナマコは体色からアカ・アオ・クロの3種に分けられ、それぞれ地域によって価格差がある。
旬は初冬とされ、日本では酢の物として食べることが多く、味よりはコリコリとした独特の食感を楽しむ食べ方をされる。腸などの内臓を塩辛にしたものはこのわたと呼ばれ、ウニ・からすみ(ボラの卵の塩漬け)と並んで日本三大珍味のひとつとされる。905年編纂の『延喜式』にも記述があり、ナマコの利用法としては1,000年以上の歴史を持つ。
生食が中心の日本に対し、中国では乾燥させた干しナマコとして利用するのが一般的である。
内臓を除いて薄い塩水などで煮た後に乾燥させたナマコを煎海鼠、海参(いりこ)という。煎海鼠は、日本でも古くは体内の虫殺し、肝臓への薬効、痰の除去などに効果があると言われ、『養老律令』賦役令及び『延喜式』にも諸国からの貢納品として挙げられている。
『本朝食鑑』には、その形がネズミに似ていることから「鼠」の字が用いられたと伝えられ、江戸時代には米俵に似ているということで豊作に通じた縁起物としてお正月のお雑煮の具(上置)に用いられた。また、長崎貿易においては「俵物」として清などに輸出された。
卵巣を干したものはこのこまたは口子(くちこ)と呼ばれる。
